鞣し
鞣し革という言葉があります。“なめし”革と読みます。
なんかむずかしいそうな言葉ですが、それほどではありません。
動物の皮を剝いだものを皮。
が、そのままの状態では腐敗してしまったり、
硬くなってしまって、なにもできず、廃棄してしまうことになります。
この生物(なまもの)の“皮”を樹液や様々な薬品で処理し、
腐敗せず柔らかい状態にすることを“鞣し”といいます。
革は全て、鞣しの工程を経たもの、ということになります。
皮から革へ、というのは、鞣しをすることなんですね。
難しいのはこれから。
鞣し、と言っても方法はたくさんあります。
昔々、その昔は草木の汁に漬けたり、煙でいぶしたり、当時はいろいろと工夫していました。
その中で最も発展した方法が、草木の汁を使う方法で、
現在「タンニン鞣し」として行われている方法。
タンニン鞣しは、草木の中に含まれているタンニン(渋)と皮のコラーゲン線維(たんぱく質)を結合させて鞣す方法です。
が、古代には純粋なタンニンを抽出する技術がなかったので、
鞣しをするのに⻑い時間が必要でした。
その後、化学の進歩により鉱物を用いて鞣す方法(クロム鞣し)が開発され、
容易に鞣すことができるようになりました、と書いてありました。
要するに、鞣しは、タンニン鞣しとクロム鞣しの2種類、となるんですが、
細かくいうとそれぞれの鞣しにもいろいろな種類があるし、
タンニンとクロムをあわせた鞣しもあるし、
それはもうたくさんあって、私にはわかりません。
なので、タンニン鞣しとクロム鞣しを知っていれば十分。
ではタンニン鞣しをクロム鞣しはどう違うのか。
ざっくりいうと、タンニン鞣しは植物のタンニン成分で皮を鞣すことで、昔ながらの手法、時間がかかる。
クロム鞣しはタンニン鞣しに変わる手法として100年ほど前に開発され、時間・コストが押さえられる。
ただ、そうするとタンニン鞣しが高価でクロム鞣しが安価、とか、そんなイメージがを持たれてしまいますが、確かにそんな側面はあるかもしれないけど、それぞれいいところがあるんです。
タンニン鞣しのいいところ。自然な風合い。経年変化。などなど。
クロム鞣しのいいところ。柔軟。発色がいい。強度に優れる。などなど。
いいところとそうじゃないところ、それは絶対的なものではない、ように思います。
作る人、使う人の好みもあるし、私はどれか一つを、“いい革”とは言えません。
なにが言いたかったかというと、タンニン鞣しとクロム鞣しを知っていれば、だいたい大丈夫。